入社前「亡くなってから入るハウスも作っている」と聞いたとき、最初はなんのことかわからなかった。言われてみれば、ああそうかと思う。入居というご縁を結ぶことはその方の人生を丸ごとお引き受けするということ。生活者とともにあろうとする会社がお墓を作ることに、なんの不思議もない。
実際、埼玉県所沢市に最初の共同墓がつくられたのは8年も前のこと。「お墓を守ってくれる子どもがいない」というご入居者の声がきっかけだった。
今回、所沢の共同墓の会員数が定員に達したため、新しい共同墓を神奈川県鎌倉市の円覚寺「白雲庵」に建立。 先日、社長以下役員総出で行われた「開眼供養」に参列した。
白雲庵は、1309年北条定時によって招かれた 東明恵日(とうみんえにち)という禅師の塔所。この日は住職より、本堂にある掛軸の説明があった。「六十九年有生有死 古渡雲収青山在水」――。この言葉は東明恵日の遺言で「69年間ぼんやりと生きてきたが、あっという間だった。祖先からもらった命を一刻も無駄にせず、一生懸命精進し、健康に気をつけてお過ごしください」という意味だという。この住職の説話を聞き、由緒正しい塔頭の重みをしみじみと実感。永眠の地として、自信を持っておすすめできるお寺だと思った。
とはいっても、最近はお寺での永代供養墓だけではなく、メモリアルスポットでの散骨や樹木葬のような自然葬、手元供養といった自由な形にも注目が集まっている。団塊世代を中心に「お墓の継承者がいない」「子どもに負担をかけたくない」などの 声が増えている昨今、葬送の形は今後ますます多様化していくことだろう。
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