前号の『間楽』において、インタビューに応じてくださった俳人の夏井いつき先生。その取材がきっかけとなり、 先生が選者を務める「おウチ de 俳句大賞」(朝日出版社主催)に、長谷工シニアウェルデザイン特別協賛の「毎日凸凹(でこぼこ)部門」が加わりました。初回の募集と選句、そして授賞式を終えた先生に、その手応えと今後に向けたメッセージをうかがいます。
「おウチ de 俳句大賞」は、少しでも多くの人に、俳句を身近で気軽なものと捉えていただきたいという思いから始まったものです。わざわざ風光明媚なところに出かけていったりしなくても、どこにいたって、自宅でだって俳句はできる。それを伝えたくて書いた書籍がきっかけとなり、広く俳句を募るイベントに発展し、令和元年5月1日に第1回授賞式が行われました。
当初はそれこそ、外出が難しくなってきた高齢の方が応募者の多くを占めると思っていたんです。しかし、蓋を開けてみると思った以上に若い方からの投句が多かった。さまざまな世代の方に俳句と出会っていただきたいと思っていた私にとっては、ある意味うれしい誤算でした。受賞者の皆さんが日比谷松本楼に集い、互いの句を鑑賞し、語り合い、そしてみんなで大賞を選ぶ──そんな温かい交流の場となる表彰式も、年に一度の恒例行事として定着しつつあります。

そこに第7回から加わったのが「毎日凸凹部門」です。シニア世代が日常で出会う、ほんのささいなうれしいことや悲しいこと、そんな小さな凸凹を詠んでいただく部門として設置したところ、これまで「おウチ de 俳句大賞」には参加されていなかった方々から多くの投句をいただきました。
特別賞に輝いた長谷工シニアウェルデザインのホームにお住まいのご入居者を前述の表彰式にご招待したのですが、皆さんの笑顔は強く印象に残っています。例えば、 旅立たれたパートナーへの深い愛情を感じさせる句を詠まれ、会場の涙を誘った「知代子(俳号)」さん。華やかなワンピースも本当によくお似合いで、あの場の誰もが「こんな年の取り方をできたらいいな」と心から思ったことでしょう。理想の老後を体現している人を目の当たりにして、言葉を交わし、仲良くなれる。みんなで作ってきたイベントが一段と豊かなものになり、うれしく思っています。


もちろん「おウチ de 俳句大賞」も、そして「毎日凸凹部門」もこれで終わりではありません。第8回の募集もすでに始まっており、続々と力作が集まりつつあります。前回応募を見送られた方も、ぜひ一歩踏み出してみていただきたいですね。入賞は約束できませんが(笑)、心を込めて選句させていただきます。より多くの方にご参加いただき、俳句の輪がさらに広がることになれば、こんなに喜ばしいことはありません。皆さんのご応募をお待ちしています。
「始めてみようかな」と思ったあなたに、
夏井先生 から アドバイス

音読のすすめ
まずは良い句をよく味わうこと。例えば、前回の「毎日凸凹部門」で特別賞に選ばれた10句を何度も読み込んでみてください。黙読もいいですが、声に出して読み上げると、韻文としての響きの心地よさを一段と実感できるはずです。
十二音の「日記」をつけて
普段の生活の中での出来事や、感じたことを十二音で日記のように記録する癖をつけましょう。放っておけばすぐ忘れてしまうようなささいな場面を、五七、または、七五の「俳句のタネ」として残していく。季語を選んで取り合わせれば、あなただけの俳句ができあがります。


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※2026年2月28日まで
1957年生まれ。松山市在住。俳句集団「いつき組」組長。
第8回俳壇賞。第72回日本放送協会放送文化賞。『句集 伊月集鶴』など著書多数。