株式会社 長谷工シニアウェルデザイン

自立を支援する排泄ケア

暮らし

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、できるだけ家庭に近い環境で共同生活を送りながら、一人ひとりにふさわしいケアを提供(自立支援)させていだく住まいで、入居者がその有する能力に応じ可能な限り自立して営むことができるよう支援することを目的としています。

今回は、ハウスでの排泄の支援を一部ご紹介します。(ちょっと長いです)

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さて「問題なく“排泄”ができる」とは、どういうことでしょうか。
排泄は、以下に示すような意識や動作の組み合わせによって行われます。

 1.尿・便意を感じることができる。
 2.排泄をする場所(トイレ)がわかる。
 3.トイレまで行くことができる。
 4.便器が認識でき、使い方がわかる(便座に正しく座れる)
 5.ズボンや下着を下げる(男性ならファ スナーを下ろす)ことができる
 6.用をたせる(腹圧をかけ排尿・便ができる)
 7.排尿・便があったことがわかる
 8.後始末ができる(排泄量に見合った紙の量の判断+拭く動作、水を流す)
 9.下着やズボンを上げ、着衣を整えることができる
 10.水道蛇口を使い手洗いをして元の場所に戻れる。

排泄のプロセスは、実に多くの記憶や判断・動作が必要になります。
また『今日は出た?』と聞いても、昨日の記憶が、今日とすり替えられていて、出た気になっている場合もあります。ネガティブことは言いたくないという意識が働いているのかもしれません。

出来て行っていること、出来るのにしていないこと、できないことを、それぞれの動作ごとに分類し、どこまで出来るか、何が出来るか、どうすれば出来るかを、ご入居者一人ひとり見極めて、支援することが必要と考えています。

各居室の個室トイレ

 

◎尿・便意を認識できない方 
排泄記録を元に、その方のリズムに合った時間にトイレ誘導。また、排泄前に特有の仕草がないかを観察・把握して、トイレ誘導を行ないます。

◎トイレがわからない方 
表示を出す:トイレ・お手洗い・便所・ご不浄など、人によって世代によって馴染みの言葉は違います。 字体や大きさ・色・高さ等も考慮し、ご本人が認識できるよう工夫しています。また、フタが閉まっているとトイレだとわからない方には、フタを外したりもしています。夜間は、トイレの電灯をつけて認識しやすいようにもしています。

◎立位が困難な方
その方の動作に合った手すりを追加設置。可能な範囲で服の上げ下ろしを行っていただいています。

◎後始末(1)
トイレに座ったままで手が届く所にゴミ箱を置き、汚染したものを(スタッフに見られずに)捨てられるようにしたり、自分で 尿取りパットを交換できるよう、整理棚をトイレに置いている方もいます。

◎後始末(2)
排泄を認識できず途中で立ち上がってしまう方や、不十分な方は、便座に腰掛けたことを確認した後、視界に入らないところで見守り。タイミングを見て声をかけて、後始末の介助をしながらお尻の周りの状態をさりげなく観察。必要に応じて主治医に診ていただく手配をします。

記録は全ての基本です

そして、排泄ケアで忘れてはならないのは「感情」の部分。排泄は一人でするものですし、人に見られないようにするのは当然のこと。
羞恥心や自尊心を尊重し、本人に同意を得て納得のうえで対応することは、排泄ケアでとても大切なことです。
 
 
食生活に便秘にならない工夫を
腸内環境を整えて、下剤など即効的な手段だけに頼りすぎない努力をしています。
適度な運動
日常的に運動を取り入れることで、筋力の維持とともに腸も刺激されます

何歳になっても、体が不自由になっても、認知症でも、自分でトイレに行きたい……
全ての人に共通の この願いを叶えることは、何よりも大切かもしれません。

一方で、日常生活自立度が高い方は、排泄状況の確認が困難である場合もあるので、排泄ケアは口で言うほど簡単ではありませんが、これからも適切なケアを模索していきたいと思います。(from ハウススタッフ)