認知症ケアの外部研修で学んだことを生かして、
1人のご入居者(A様)についてとことん考えるミニカンファレンスを、
5日間にわたって実施してみました。
A様は、「不眠」「失禁」等の課題がある方。
これまでも幾度となくミニ会議で議題にのぼりましたが
「やっと眠ったのに排泄介助に入ると、また起きて歩き回る」
「いや、失禁はまずいから、たとえ覚醒させてもパット交換を頻繁にすべき」といった、
「睡眠をとるか、清潔をとるか」の二者択一の議論から抜け出せていませんでした。
睡眠も、清潔も、A様の意思も、どれも大切にすることはできないのだろうか…。
というわけで今回は、まずA様の情報や言動を洗い出し、
なぜ眠れないのか、その背景にあるものをひもとき、A様の本当の気持ちを推測する、
という順序で話し合いをしました。
結果、「1人になると不安、でも他人に干渉されるのもいや」
「きれい好きで自己管理したい、けれど、どうしていいかがわからない…」などの
繊細なA様像をチームメンバーで共有できました。
実際の声かけや関わり方も考え、今、皆で実践している最中です。
正直、特効薬みたいなすごいケアを編み出せたわけではないですが、
「夜だからもう寝ましょう」「トイレ行きましょう」みたいな、
管理的で指示的な声かけからは脱却できたように思います。
自分の意思で生活している、という実感を持ってもらいながら、
安眠や清潔といった客観的QOLも担保できる…そんなケアを目指し、引き続き考えていきます。
