株式会社 長谷工シニアウェルデザイン

その方らしさを大切に 「にやりほっと大賞」

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その方らしさを大切に 「にやりほっと大賞」

長谷工シニアグループは、高齢期のより良い住まいや介護を提供するべく、これまで30年以上事業を続けてまいりました。

でも、「より良い住まいや介護」とはどのようなものでしょうか? 数字のような明確な指標はありません。 生きてきた人生や性格、心身の状態は人それぞれで、目には見えづらいものばかり。 だからこそ、サービスを提供するスタッフは悩み、葛藤し、ときに行き詰まることもあります。

そんななか生まれた、長谷工シニア独自のケアの取り組み「にやりほっと」。 ご入居者の「やりたい気持ち」や「できること」に目を向けることで、その方らしさを尊重するケアにつながると、朝日新聞の天声人語に取り上げられ、書籍化しました。

現場で「にやり」とした、「ほっと」したエピソードを、ケアに活かすため共有しよう! と、本年より全社で「にやりほっと大賞」をスタート。 長谷工シニアグループ内の各事業所から寄せられたエピソードの中から大賞に選ばれたのは、「ライフ&シニアハウス千種」にお住まいのSさんご夫妻のエピソードでした。

ある朝、夫のIさんからナースコールが。 「ケーキを食べたいんだよ。 今日、誰か外に行く予定はない? 買ってきてくれないかな?」

スタッフが「今日は特に外出の予定はないんですよ。」と答えると、 「どうしても食べたいんだよ!」との返答が。

なぜだろう? と考えたスタッフ。 「…そうだ!今日は妻Eさんのお誕生日だ!」と気が付きました。

ストレートに「妻の誕生日を祝いたいからケーキを買ってきてほしい」と言わないのは、照れ隠しだったのでしょう。 スタッフはそんなIさんの愛情深さを感じなから、買い物代行でケーキを買いに行きました。

Sさんご夫妻が暮らす「ライフ&シニアハウス」は、お元気なときから入居できる「ライフハウス(自立型)」と介護が必要な方の「シニアハウス(介護型)」が一つの建物に併設されており、夫のIさんが自立型、妻のEさんが介護型にそれぞれお住まいになっていました。 Iさんは他のご入居者と「飲みニュケーション」を楽しまれるなど社交的な生活を送る一方、90歳半ばということもあり、家事など身の回りのことは訪問ヘルパーや事業所スタッフがサポートをして自立居室での生活を続けつつ、毎日Eさんの居室に足を運んでいました。 2人は自宅にいたとき以上に「夫婦の時間」を、満喫できていたそうです。

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満面の笑みの妻Eさんに対し、ちょっぴり照れくさそうな夫Iさん

今年に入って、夫Iさんは妻Eさんのお隣の介護居室へ住みかえをされましたが、現在もIさんが「少しは歩かないとね」と言いながら、Eさんの車いすを押して散歩をされる姿も見られます。今回の「ケーキ」の1件は、ご夫妻の絆の深さを再認識するエピソードでもありました。スタッフは仲睦まじくもちょっぴり恥ずかしがりやな2人が水入らずで過ごせるよう、そっと見守ることを心掛けています。

「にやりほっと」で生まれた気づきをサービスに反映する。とても小さなことですが、少しずつ積み重ねていくことで"その方らしさ″を大切にしたケアにつなげています。