テクノロジーを活かし、人だからできることを追求します。
現場に浸透しつつある介護テクノロジー
長谷工シニアウェルデザインには、多くのテクノロジーが介護の現場に導入されています。例えば、介護スタッフ全員にすぐに連絡がとれるインカムや介護情報記録アプリの入ったスマートフォンの導入、介護居室への見守りシステムの設置などの整備を進めてきました。
そんなテクノロジーの導入・活用促進を担当しているのが、「未来の介護デザイン室」の一柳。「テクノロジーを活かし、人だからできることを追求します」という心得のもと、より質の高い介護を行うための活用方法を模索しています。

テクノロジーの導入・活用促進を担当する一柳。スタッフに導入意義を説明するのも大切な役目
「介護型では、介護情報記録アプリを導入したことで、『一度事務所に戻って手書きで記録をつける』という作業をなくすことができました。スタッフはスマートフォンを使ってその場で書き込み、記憶が鮮明なうちに記録を残し、リアルタイムで全スタッフに共有できるようになっています。それにより、スタッフ間の連携がよりスムーズになり、業務の省力化、効率化が進められてきました」と、一柳は言います。

機器を使用し情報共有を行う介護スタッフ
また、スタッフが24時間ご入居者お一人おひとりの側にいることは不可能であり、特にスタッフの少ない夜間の緊急時の対応が遅れてしまうリスクはどうしても0にできません。そんな時、助けになるのもテクノロジー。ベッドに設置して心拍の状況や睡眠の質などを把握できるシート型のセンサーなどの見守りシステムにより、ご入居者の状況が可視化され、一目で分かるように。そのため、深夜の巡回では、サポートが必要なご入居者にすぐに対応ができるようになりました。不要な訪問が減ったことで、眠っているご入居者を起こしてしまうこともなくなり、1時間半かかっていた巡回も20分に短縮できたケースもあります。
もちろん機器に頼りきりになるわけではなく、必要な介護を最適なタイミングでよりきめ細かく提供することができるようになり、介護の品質向上に役立てています。
より良い暮らしにつなげるために
テクノロジーが過去最大限に力を発揮したのが、コロナ禍でした。新型コロナウイルスに感染したご入居者の対応は、いつ急変が起きてもおかしくなく、細心の注意を払うと同時に、感染拡大を防ぐために接触を避ける必要がありました。そこで、見守りシステムを駆使し、介護情報記録アプリとインカムを使った迅速な情報共有により、感染拡大を抑制しながら快復まで的確な介護を行うことができたという実績があります。
「テクノロジーはただ導入するだけでも便利ですが、どう使っていくかが大切。介護の現場と連携し、状況に応じた使い方を考え、改良を重ねていくことが、私たちの役割だと思うのです」

心身の健康を守り、温もりあふれる時間を生み出していくために
当社がテクノロジーを積極的に導入するようになって4年。まだまだ過渡期ではありますが、確実な業務改革が図られており、介護技術の向上や、ご入居者と向き合う時間の創出につながってきています。一柳は「未来の介護デザイン室」のメンバーと力を合わせ、そんな未来を目指していきます。

見守りシステムの表示画面(例)。居室ごとに心拍と呼吸数が分かるようになっている

介護居室に設置された見守りカメラ
科学の発展を役立てて家族も安心の環境
「両親が「ブランシエール千種」に入居したのは2020年。もともと自立型に入居した後、父が車いす生活になり、母の目が悪くなったのをきっかけに2人で介護型に住みかえました。
一昨年5月に母が亡くなる際には、見守りシステムのおかげで母の状況を報告していただいていたので、家族は心の準備もでき、最期を看取ることができました。現在は父がひとりで介護型に入居していますが、特に見張られているような違和感はなく、むしろとても安心感があります。
テクノロジー導入に関しては、カフェのモバイルオーダーのような感覚で、最初こそ違和感があるものの、溶け込めば日常になると思います。これからも、科学の進歩をうまく役立てながら、介助される側も、する側もお互いに余裕のある環境づくりを進めていただきたいですね。それによって入居者の生活がより安全に、より快適になれば、家族としても安心です。

味岡 公江さん
未来の介護デザイン室 係長 一柳 実千代
2008年に入社。「神宮南井田」「千種」で介護スタッフとして勤務した後、「神宮南井田」にてケアリーダーに。2022年「未来の介護デザイン室」に異動。